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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2016年11月22日(火)

特別方式による遺言

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1.特別方式遺言について

 

遺言の方式としては、主として、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言が挙げられますが、その他にも特別方式遺言というものがあります。

 

これは、普通方式遺言(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)によることが困難または不可能な事情がある場合に限って許されます。

 

特別方式遺言の中には、危急時遺言と隔絶地遺言があります。そして、危急時遺言の中に死亡危急者遺言と船舶遭難者遺言という種類が、隔絶地遺言の中に伝染病隔離者遺言と在船者遺言という種類があります。

 

ここでは、上記4種類の遺言の中で、危急時遺言に絞って説明をしていきたいと思います。

 

2.死亡危急者遺言について

 

危急時遺言とは、遺言者が死亡の危険に迫られた場合に許されます。そのような場合には、通常の方式に従うことは困難と考えられますから、簡易な方式で作成することが許されているというわけです。作成するにあたっては、以下の方式に従わなければなりません。

 

①遺言者が死亡の危急に迫られていること

②証人3人以上の立会いがあること

③遺言者が証人の1人に遺言の趣旨を口授すること

④口授を受けた証人が、これを筆記すること

⑤遺言者および他の証人に読み聞かせ、または閲覧させること

⑥各証人が、筆記が正確であることを承認した後、各自署名押印すること

 

 

そして、他の遺言と比べて著しく要件が緩和されていることから、このような遺言は家庭裁判所の確認を受けなければその効力が認められません。そして、その確認請求は、原則として、遺言の日から20日以内にしなければならないので、注意が必要です。請求を受けた家庭裁判所は、その遺言書が、遺言者の真意に基づいて作成されたものか否かを判定することになります。

 

また、特別方式遺言は、遺言者が普通の方式にしたがって遺言をすることができるようになった時から6か月間生存するときは効力を生じません。特別方式遺言は、例外的に許される簡易な方式であって、遺言者の真意の確保という点で問題が残るためです。そこで、普通方式の遺言が可能になった後には、その効力を維持させる必要がないとされています。

 

元気なうちに、普通方式での遺言を残しておくべきですが、緊急時にはこのような遺言が許されていることを頭の片隅に置いておかれるとよいと思います。

 

(勝本)

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