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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2017年8月29日(火)

寄与分について②

 

寄与分について①の続きになります。

 

前回は寄与分が問題となる類型のうち、療養看護型についてご説明しました。その他の類型としては、家事従事型、金銭等出資型、扶養型等がありますが、今回は家事従事型についてご説明します。

 

家事従事型とは,被相続人の事業に関する労務の提供、すなわち家業である農業、商工業等に従事することによって寄与が認められる類型です。例えば、被相続人である甲が亡くなるまで定食屋を営んでいたところ、その子である乙が、高校卒業後から甲が亡くなるまでの間、甲と同居して定食屋を手伝っていた場合などがこの類型に当たります。

 

もっとも、前回もご説明したとおり、法律上の寄与分として認められるためには、その家事従事が「特別の寄与」と評価されなければなりません。

 

そして、上記の家事従事型について、「特別の寄与」が認められるためには、一般的に、①無報酬又はこれに近い状態で労務の提供が行われたこと、②被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待される程度を超える労務の提供であること、③当該労務の提供によって相続財産を増加させた、又はこの労務の提供がなければ相続財産を処分せざるを得なかったと認められること、が必要とされています。

 

例えば、被相続人甲が農業を営んでおり、甲の息子である乙が、高校卒業後から約40年間、家業である農業を手伝っていたとしましょう。そして、乙の生活費は甲が負担していたものの、それ以外に乙は甲から給料等の金銭を受領していなかったものとします。

 

この場合、乙には「特別の寄与」が認められる可能性が十分あるでしょう。

 

どの程度の寄与分が認められるかについては、雇用契約があったとすれば通常どの程度の賃金を貰えていたかというのが一つの目安になります。ただ、上記の事例では、生活費を甲が負担しておりますので、生活費は差し引いて考える必要があるでしょう。

 

そして、このようにして算出した金額をもとに、相続財産の額や寄与後の相続財産の増減の状況その他の事情を考慮して最終的に寄与分として認められる具体的な金額が算定されることになります。

 

より具体的なイメージを持っていただくために、盛岡家庭裁判所一関支部審判平成4年10月6日(家裁月報46巻1号123頁)を紹介します。この裁判例は、被相続人の長男の妻であるXが、家業の農場に従事するとともに、工員として得た収入をもって被相続人らの生活を支えていたという事案です。

 

この事案に対し、裁判所は、「Xは、昭和52年から家業の農業に従事していたが、昭和63年の人力による農作業標準賃金1日4,800円、年間の作業日数を60日、生活費として40%を控除すると、Xの農業に従事したことによる寄与分は190万800円となる。」というように寄与分を算出しました。相続開始時(被相続人が亡くなった時)である昭和63年の賃金相場を基準に寄与分が算出されています。

 

寄与分の具体的なイメージを持っていただく上で、一つの裁判例として参考にしていただければと思います。

 

(勝本)

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