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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2015年9月18日(金)

どうなる?生命保険金

「夫が,多額の借金を残してなくなりました。ほかにめぼしい財産もなく,私には,とても払える額ではないので相続放棄しようと思っています。」

 

「でも,そんな夫でも生命保険に入ってくれていたおかげで,私に保険金が入ります,だから生活には当面困りません。」

 

ん?相続放棄は被相続人のプラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄するのだから,保険金を請求する権利(保険金請求権)も放棄したことにならないのでしょうか?

 

この点,保険金請求権は,保険契約の効果として発生する,受取人に指定された者(相続人)の固有の財産(権利)であり,相続財産(遺産)ではありません。

 

したがって,相続放棄をしても保険金請求権を放棄したことにはならず,保険金を受け取ることができます。

 

また,保険金請求権は,遺産ではないのですから,遺産分割の対象にもなりません。

 

とすると,複数の相続人の一人に,多額の保険金が入るような場合,他の相続人との関係で,非常に不公平な結果となることがあり得ます。

 

そこで,最高裁の判例は,「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認できないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となる」として調整を図っています。

 

ただ,保険金請求権は,民法上は遺産ではありませんが,税法上は,「みなし相続財産」とされ,遺産と同様に扱われますので,この点には注意が必要です。

 

(小林)

 

 

 

 

 

 

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