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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2016年9月27日(火)

内縁と相続

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ようやく晴れましたが,9月は雨ばかりですね。

 

9月18日から24日までの日照時間が0.1時間だったそうです。かと思えば,今日は真夏日になるそうで・・・

 

体調管理も大変です。

 

さて,話は変わりますが,20年間夫婦同然に生活してきた男女がいましたが,婚姻届は提出していませんでした。そのうち,男性が亡くなってしまい,遺産として男性が所有していた家が遺されました。女性はその家を相続できるでしょうか?

 

「20年間夫婦同然に生活」してきた男女ですから,婚姻届が提出されていなくても,事実上の婚姻関係つまり内縁関係にあったと考えられます。(もっとも,内縁関係にあるかどうかは,様々な諸事情を総合的に考慮して判断されるのですが,ここではそれには触れず内縁関係にあったという前提で考えます。)

 

内縁関係が認められた場合,婚姻届を提出している法律上の婚姻関係に準じた法的保護が与えられ,婚姻費用の分担や同居義務・協力扶助義務などの法律関係も発生するとされています。

 

また,不貞行為に対する慰謝料請求や内縁解消の際の財産分与も認められます。

 

このように,内縁関係も法律上の婚姻関係とほぼ同じように保護されるということは,相続についても同様に考えることができるような気がします。

 

しかし,内縁関係のままでは相続が発生することはありません。したがって,女性は男性が所有する家を相続することはできません。

 

ではどうすれば良かったのでしょうか?

 

まず,男性が女性に家を遺贈するという内容の遺言を書いておくことが考えられます。このような遺言があれば,女性は家を取得することができます。

 

もっとも,遺言でも遺留分を侵害することはできませんので,男性に相続人がいた場合は,遺留分減殺請求を受けてしまう可能性はあります。ただ,相続人が男性の兄弟姉妹のみであれば,兄弟姉妹には遺留分がありませので,この遺言によって女性は家を取得することができます。

 

また,男性が亡くなる前に,女性に家を贈与(生前贈与)する方法も考えられます。

 

ただ,この方法も相続開始前の1年以内の贈与については,遺留分減殺の対象になってしまいますし,1年以上前でも「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って」いた場合は,遺留分減殺の対象になってしまいますので注意が必要です。

 

なお,男性に相続人がいなければ,女性は特別縁故者の制度を利用して家を取得することも可能ですが,家庭裁判所への申立が必要になるなど,手続きが煩雑ですので,相続人がいないときこそ,きちんと遺言を書いておくことが肝心だと思います。

 

(小林)

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