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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2016年9月30日(金)

デジタル遺産の相続問題

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1 デジタル遺産とは

このごろ,デジタル遺産(デジタル遺品とも呼ばれている)をどうするか?という問題が提起されています。

 

デジタル遺産として,パソコンやタブレット,スマホの中にある写真,電子書籍,音楽データや,SNSなどのインターネット上のサービスのアカウント,ブログ,電子マネー,ネット銀行にある預金などがあります。

 

オフラインで,パソコンのハードディスクやUSB等の記憶媒体などのデータであれば,その「データ」が故人のものだというのはわかりやすいです。

 

しかし,オンライン上のアカウントなどになると,そもそもそのデータやサービスの関係は,わかりにくいものがあります。

 

ネットバンキングの預金は,通常の預金と同じと考えてよいでしょう。

 

しかし,一般的にクラウド上にあるデータなどは,所有権の対象となる「物」ではなさそうです。

 

サービス事業者との債権債務があるのか,どのような権利関係なのかもわかりにくい印象があります。

 

インターネット上で,私たちは様々なサービスを使っていますが,利用規約などはよく読みませんし,また,きちんと整備されているとは限りません。

 

サービス利用にあたって,それが利用者の確固たる権利として定められているのか,相続人に承継されるものなのか,はっきりしません。

 

2 デジタル遺産の問題性

デジタル遺産の行方について,問題になる理由のひとつは,死者のプライバシーです。

 

人に見られたくないものを,どうやって処分するのか,見られないようにするのか。アカウント・パスワード管理,データ処分方法などに工夫が必要です。

 

また,相続人や,サービス事業者など,残された者たちは,死者のプライバシーや名誉などにどう向き合うのか,問題になると思います。

 

もうひとつは,デジタル遺産の財産的価値があります。

 

大部分は,ブログの記事や写真などで,それほど価値があるものはないでしょうから,そんなときに「形見分け」をするには問題ありません。

 

しかし,ブログやアフィリエイトサイトで,大きな収益をあげている場合など,遺産分割の対象として経済的価値をカウントしなければなりませんし,相続税の対象となる相続財産になるかもしれません。

 

そして,上記のとおり,そのデジタル遺産が,相続人に承継可能であるのか,どのような承継方法になるのかという点は,財産的価値がある場合には大きな問題になってくるでしょう。

 

3 デジタル遺産の相続

上記の問題は検討する必要がありますが,今後インターネットはますます浸透し,デジタル遺産も増えていきますので,遺言をする場合や,遺産分割をする際にも,これらの知識も必要になってきます。

 

これから,遺言をする場合には,遺産の分け方を考えるだけではなく,デジタル遺産のアカウント・パスワード等をきちんと承継させる方法や,人に見せたくないデータの処分方法も検討することになるでしょう。

(関口)

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