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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2017年4月5日(水)

相続人がいなくなった~相続財産管理人

例えば,あなたの父親が亡くなりました。相続人は,あなたを含めた兄弟3人です。

 

父親には,タンス貯金として現金500万円が遺されていましたが,銀行からの借金1000万円の負債も残っており,銀行から請求されています。

 

あなた方相続人は,どうすればいいでしょうか?

 

もちろん全てを受け入れて返済していくことも可能ですが,このように負債が資産を大きく超えた場合,相続人全員が相続放棄をすることが解決方法としては多いと思います。

 

このように相続放棄をすれば,あなた方は,銀行からの借金1000万円を返済する必要がなくなります。

 

では,タンス貯金500万円はどうでしょう?相続放棄は負債のみならず資産も放棄しますから,あなた方は借金を免れるとともに,タンス貯金も手に入らなくなります。

 

ただ,お金を貸した銀行としたら,タンス貯金から少しでも回収したいと考えるはずです。しかし,相続放棄をしたあなた方には請求できません。

 

このような場合,相続財産管理人を選任する方法があります。

 

相続財産管理人は,相続人がいるかどうか不明の場合や,相続放棄によって相続人がいなくなった場合に,利害関係人または検察官の請求により,家裁によって選任されます。

 

相続財産管理人は,相続財産を調査し,資産や負債の精算をして,資産が残った場合はそれを国に納めるという役割を担っており,その業務の過程で銀行に返済をすることになります。

 

また,あなた方も相続放棄をしたとはいえ,資産であるタンス貯金の管理を継続する義務があるので,その義務から免れるためには,相続財産管理人を選任する必要があります。

 

とすると,いずれにせよ相続財産管理人の選任は必要になりそうです。ただ,選任の申立には予納金を納付しなければならず,これがかなり高額となる場合がありますので,負債が多額で相続放棄をしたいけど,資産もあるというようなときは弁護士に相談することをお勧めします。

 

(小林)

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