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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2018年10月5日(金)

配偶者の長期居住権

 

 

 

 

 

1.配偶者の長期居住権とは

 

 

前回のブログで、配偶者居住権のうち、短期居住権についてお話ししました。

 

今回は、長期居住権についてです。

 

長期居住権の存続期間は、原則として配偶者の終身の間です。つまり、被相続人が亡くなってからその配偶者自身が亡くなるまでの間、無償でその建物に居住することができる権利です。ただし、遺産分割や遺言において一定期間と定めることもできます。

 

このように、短期居住権に比べると、かなり強力な権利といえます。

 

 

2.配偶者長期居住権の成立要件

 

 

では、配偶者長期居住権は、どのような場合に認められるのでしょうか。

 

配偶者長期居住権は、配偶者は、①被相続人の財産に属する建物に相続開始の時に居住していた場合に②遺産分割、遺贈あるいは死因贈与のいずれかを原因として、取得することができる、とされています。

 

①については、短期居住権の場合は、配偶者が相続開始の時に「無償」で居住していたことが要件でしたが、長期居住権の場合は、無償・有償を問いません。相続開始の時に居住していれば、①の要件は満たします。

 

なお、その建物が、被相続人と配偶者以外の者と共有である場合は、①の要件は満たしません。

 

②については、まず、被相続人の生前に遺言や死因贈与契約をしておくか、被相続人の死後に遺産分割協議をすることで、配偶者に長期居住権を与えることができます。

 

また、これら以外にも、家庭裁判所における遺産分割審判において、(1)共同相続人間で合意がある場合と、(2)配偶者が配偶者居住権の取得を希望し、かつ、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮しても、配偶者の生活を維持するため特に必要があると認められる場合、にも長期居住権が認められます。

 

なお、配偶者が配偶者居住権を取得した場合には、その財産的価値に相当する価額を相続したものと扱われます。配偶者居住権の財産的価値は、所有権に比べれば低額ですので、配偶者としては、それだけ多く、他の遺産を取得することができるようになります。

 

例えば、被相続人(夫)と配偶者(妻)、子どもの3人が居り、遺産として自宅1000万円、預貯金2000万円があるとします。

 

この場合、法定相続分は配偶者と子で2分の1ずつ(本件では、1500万円ずつ)ありますので、配偶者が自宅を相続すると、預貯金からは500万円しか取得できません。

 

しかし、自宅1000万円のうち、配偶者居住権の財産的価値が500万円、所有権の財産的価値が500万円であるとすれば、配偶者は、亡くなるまでの間、自宅に住み続けることができる上に、預貯金から1000万円を取得することが可能になります。

 

もっとも、配偶者居住権の財産的価値をどのように算定するかについては、意見が分かれており、上記のとおりになるとは限りません。未だその扱いは不明確です。今後の動向に注意していく必要があります。

(勝本)

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